変わる相続制度(1-1)進む高齢化

変わる相続制度(1-1)進む高齢化、関心高まる

人が亡くなると、お金や土地は残された遺族が引き継ぎます。高齢化が進むなかで、この相続制度の見直しがいま、検討されています。大幅な改正は1980年以来のことです。
 「家族の一部が勝手に話を進めている」「お互いの言い分が対立している」……。コンサルタント会社「夢相続」(東京)には、こんな相談が寄せられる。同社が昨年までの9年間で受けた遺産分割の相談399件のうち、もめる相手は兄弟姉妹が最も多く、3分の2を占めた。「争族」と呼ばれるほど、トラブルに発展してしまう例は多い。

 「近年は離れて暮らす家族が多く、コミュニケーションの希薄さが争いを生んでいる」と曽根恵子社長はみる。2014年の国民生活基礎調査によると、65歳以上のいる世帯のうち、一人暮らしか夫婦だけの世帯は過半数に及んだ。他方で昨年1月、相続税が増税された。都内のある税理士は「相続税に関する相談が以前の2~3倍に増えた。相続への関心は間違いなく高まっている」と話す。

 1898(明治31)年に施行された明治民法は、封建的な社会を反映して家を重視し、戸主が強い力を持っていた。亡くなると次の戸主が家の財産を継ぐ「家督相続」が基本だった。

 戦後の1947年に現行民法となり、家督相続は廃止され、配偶者にも相続権が認められた。

 次の大幅な改正は80年。核家族の増加などを背景に、子どもと分ける場合の配偶者の法定相続分が、3分の1から2分の1に。亡くなった人の財産を増やすのに特別に貢献した場合などには取り分を増やす「寄与分」制度も新設された。

 今回の見直し議論のきっかけは、2013年の最高裁決定だ。結婚をしていない男女間の子(婚外子)の相続分を、結婚した男女間の子の半分とする規定は、婚外子への差別で、憲法違反と判断した。この規定は廃止されたが、その過程で自民党内の保守派から「家族制度が壊れる」「結婚した妻やその子の権利を守るべきだ」という声が出た。

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 そこで法務省は14年に有識者会議を設置。その結果を踏まえ、15年4月から法制審議会(法相の諮問機関)の相続部会が議論し、今年6月に中間試案がまとまった。

                   朝日新聞   2016年8月24日 より